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ソレは、そっと降り積もる・・・。

第31章   ホオズキをはむ時

  


「ところで・・・珱月さんのことは、どこまで訊き及んでいらっしゃいますか?」


 紅茶を一口飲み一息を付いたあと恋敵とも言える少女の両親になに食わぬ顔をして問い掛ける。


「それが・・・〝説明をする〟とだけ言われて招待されたんです。」


「そうでしたか。私から説明しても宜しいですか?」


「もちろんです。状況が判るのならお願いしたいです。」


「判りました。では・・・私がお話し致します。」


 〝なにも〟・・・訊かされていないのだと知って早々と迎えに行って正解だった。


「珱月さんは、この国での言い伝えの〝黒髪の乙女〟と言う少女に酷似しているのです。そこで国王の親衛隊長を務めるジュリアスさまは、結婚相手に困っていらしたのです。
 それに家庭事情でご両親の決めた婚約者とは、結婚したくなく珱月さんを選びました。」


  

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