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キミの事を取り戻せるなら

第3章 助けてほしいのに

そんな俺達だから、それを利用してた奴がいるなんて思わなかった。

ノックがして扉が開くと、最近入った女性スタッフが声を掛ける。
彼女は、なんだか怯えた顔で着いて行った。

部屋から出て一番奥の日頃から使われていない部屋のドアを開け、突き飛ばされた形で前のめりに転ぶ。
女性スタッフ「あんた、いい加減に辞めなよ!!メンバーのお荷物になってるじゃん。」
背中に足を乗せ体重を掛けられる。
女性スタッフ「ねぇ?橘美花さん?」
横からお腹を蹴られる。
何度も何度も・・・。
女性スタッフ「あ~イライラするわぁ!!」
折り畳みの椅子を背中に投げ付けられた。
女性スタッフ「メンバーに言ったら、もっとひどい目に合わせてやるからな。でも、メンバーに受け入れてもらってないから告げ口してもねぇ(笑)ば~か!!」
笑いながら何度も蹴られた。
女性スタッフが行ってしまった後、必死に涙をこらえ痛い体を引き摺って部屋の前まで来た。
自分自身に何度も暗示を掛ける。
痛くない
痛くない
全て私が悪いから
大丈夫
大丈夫

ドアノブに手を掛けようとしたら、ドアが開いた。
「あのスタッフさんとなにしてた?」
美花「わ、私の立ち位置の事です。」
「そろそろ時間だから。」
と軽く背中を押されたら思いの外、痛くて
美花「うっ・・・。」
思わず声が出てしまった。
そうしたら、痛みが増してきて座り込んでしまった。その時、私の足首から痣が見えてしまったみたいで、それに気付いたメンバー
ダイ「この痣なに?」
美花「な、なんでもないです。」
ダイ「ちょっと、ごめん。」
美花「なんでもないです。大丈夫です。平気です。」
ダイ「病院、行こ。」
美花「転んだだけです。」

何度、聞いても同じ答えの繰り返しだった。

この時、無理矢理でも聞いて病院に連れて行けば良かった。


それから日に日に痩せていってるような気がした。

数日後、例の女性スタッフに呼ばれた美花の後を追う。
部屋に入った途端、中からは罵声となにかを投げられた音がした。
ドアが開く音が聞こえたから物陰に隠れて見ていた。先に出てきたのはスタッフだった。
少ししてから痛みをこらえた美花が出てきた。
痛くない
痛くない
全て私が悪いから
大丈夫
大丈夫
って何度も呟く声が聞こえた。

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