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瀬戸柊一郎というのは、芸名だ。

本名は佐々 柊一郎と言う名前だ。
俺は小学生の頃に親が離婚して母子家庭となった。弟がいるから高校には行かずに、就職しようと思っていたが、母から高校には行けと言われしぶしぶ通った。
俺はそんなに成績が悪い方では無かった。大学への進学を勧められると思ったから、高校では平均以下の成績を心がけてテスト期間中もバイト三昧だった。

高校卒業後は、高校時代からバイトしていた内装工事の仕事をしていた。

当時彼女もいたし、仕事もまぁまぁうまくいってる。でも好きで始めた仕事じゃない。

親や、弟の為にやり始めた仕事。自分の意思じゃない。彼女だってそうだった。
別に好きか嫌いかと言えば好きだけれど、急にいなくなっても多分俺は探したりしない。
自分はきっと死ぬまでこんな中身の空っぽな男なんだってそう思っていた。


「いい加減な仕事してんじゃねぇよ！柊！
お前がそんなヤツだとは思ってねぇよ！でもこれで飯食ってる奴が山ほどいるんだぞ！」


その通りだ。その日職場でリーダーだった内装業者の家長に酷く叱られた。

今しているのは、内装でも声優の養成所の内装だった。防音だの、ワザと響かないようにする部屋だの注文の細かいこと。
俺が手を抜いていたのを家長は見逃さず叱られた。


「はぁーぁ…仕事終わったら未紗(みさ)の所に行って…抜いて帰るかな…」
俺は昼休憩の時に、叱られた家長と飯を食うのが嫌で近くの公園で食べることにした。