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惰性同棲

第2章 惰性同棲


数年前から私は恋愛感情、というものを見失ってしまっていた。
働かない、やる気がない私はもう2年も男に養われて生きている。カイトと住み始めた時も、他の男から移ってきた。

幸い私はセックスが好きで顔が可愛い女。媚びることも、隙を見せることもできるから、今まで生活にはなんとかなってきた。でももうすぐ26になる。

カイトも私より可愛いくて若い女の子を見つけたら、私を捨てるだろうし、もう本格的にアラサーになる私を養ってくれる男などいないかもしれない。

失敗した。

と思う。人生を。

でも今、カイトのことを好きになってしまっているような気がする。

朝食の時間も、ゲームの時間も、セックスも幸せだったような気がする。
よくわからない関係性のここには愛があるのかしら。

静かに泣いていたのに、鼻をすすってしまった。

「泣いてる?」
「泣いてないよ」

どう考えても泣いてるよなあ、私の声。
惨めだなあ、ここに来て片思いか。

「まあ、うん。…うーん。お水、飲むか?」

頭を掻くような音がした。困らせてんなー。とまた惨めになる。

「飲む」
手をぎゅっと握り返す。愛が伝わればいいな。

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