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俺の男に手を出すな

第5章 お狐さま

【智side】

寒くて上手く動かないんだろう。
指先が冷えてる。

だから、手袋しなよ、って言ったのに。
夢中になったら外しちゃって。

冷たい指で時間をかけて、葉っぱの部分が真ん中に来るように、位置を調節してくれた。




「これがしたかったの?」

訊くと、そのままの表情で、ウンウンって頷く。

恥ずかしいのを誤魔化してる時の顔(笑)。

「ふふっ
翔君はロマンチストだなぁ」

どうりで。
最近、妙に指輪のイメージが浮かぶと思った(笑)。

「葉っぱが大きいやつ、探したんだよ
やっと見つかった」

結び終わると言って、でへへ、って笑う。

愛しいオイラの男。

「あんまり外では可愛い顔をしないように」

我慢出来なくて触れた頬も、やっぱり凄く冷たい。

これは帰ったら即、風呂だな。





「じゃぁ、オイラも同じくしてあげる
翔君、手ぇ出して
目ぇつむってて」

家に帰ってから渡すつもりだったけど。
可愛いから、今渡すことにする。

ちょっと早いけど、当日は多分、仕事で渡せないから。





ポケットから取り出した小さい箱。
中に入ってるお揃いの指輪。

もう指輪は、前にも贈ってるんだけどね。

誕生日のプレゼントで、またやりたくなったの。

きっと意外だろうから。
喜ぶかな、と思ってさ。

マルにバスローブをやった話をした時、うらやましそうにしてたからさ。

特別なのはおまえだけだよ、って。

わかった方がいいだろ?

オイラの男に手を出す奴が、また現れても困るしね。





素直に目を閉じた翔君の顔が、キ スを待ってるみたいで可愛い。

翔太さまをチラッと見たら、笑いながら唇に人差し指をあてて、トントンってしてる。

ふふっ。

今日はありがとうございました。
大神様と翔次さまにも、よろしくお伝えください。

心の中で念じたら、翔太さまはニッコリ笑って、スッと消えた。

オイラは周りを見回してから。

まずは翔君の唇にちょっとだけ。

触れるだけの キ ス をした。










FIN.
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