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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第21章 合コン


 ―― それ以上飲むな!!


 恐らくそんなメッセージだろう。

 けど私は、こんな最低男との中身の無い会話なのに
 ちゃんと相槌を打っているし。

 凄く頑張っている。

 そんな視線を利沙に送り返していると、
 井上くんや周りの人達が目を見開いた。

 何を驚いているのか? と思い、
 振り向くと、目の前に、
 仕立ての良さそうな濃紺のネクタイ。

 見上げると……竜二センセだった。


「こんばんは」


 彼はそう言って微笑んだ。

 本当に物凄くびっくりした。

 私はこんな所でその顔を見ることができて、
 すごく喜んでいる自分に驚いた。
 ホントいつの間に、私はこんなにもこの人に
 惹かれてしまったのか。

 そう思ったあと、はっとした。

 こんないかにも合コンな席にいるところを
 見られたら、もうダメじゃん。

 ―― って、何がもうダメなんだろ?

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