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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第21章 合コン


 誘ってくれた利沙には悪いけど、
 今夜、合コンに来たことほんの少し後悔してる。


 だって、合コンって同世代の男性と出会う
 きっかけにはなるかも知れないけど、
 あんまり真面目なお付き合いには巡り会えない
 ような気がする。

 
 ”男を忘れるには新しい恋をするに限る!”って
 断言する利沙に圧される形で参加した合コン。

 特に興味を惹かれた男性はいなくて、
 1人ちびちびカクテルを飲み続けていたら 
 利沙がトイレから戻ってきた。
 
 
「―― さて、次行くわよあや」

「……」

「って、大丈夫ー? あや」

「ん~……あ、りさ……どしたの?」


 利沙はため息をつく。そして、
 
 
「あんたは帰った方がよさそうね」

「もしかして二次会?」

「んにゃ。合コンのはしご」

「私はパスぅ……明日は1日バイトだしぃ……
 そろそろ卒論にもとりかからなきゃ」
 
「だね。じゃあ、各務センセが送ってくれるゆうから、
 甘えちゃいなさい」
 
「は? どちらのかがみせんせ?」   


 『おっす』と、利沙の後ろから顔を覗かせたのは
 小一時間程前、連れの女性と出て行ったハズの各務。
 
 
「あ~ぁ、そんなに酔っ払っちまってぇ……」

「あ……えっと……」

「じゃあ、お願いします。住所はさっき渡したメモの
 通りだから」
 
「オッケー ―― じゃ、和泉さん、
 俺達も行こうか」
 
 
 って、大きな手でグイっと引っ張るから
 何となく今さら”結構です”なんて言えなくて。
 
 彼に促されるままハイヤーに乗り。
 
 芝浦の港南寮へ。 

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