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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第22章 本能の趣くままに


 ハイヤーの中では大丈夫そうだったが、


「―― ほら、しっかりしろよ」


 久しぶりに飲んだアルコールの酔いは
 確実に回っていたらしく ――


「あ、あれぇ……結構足にきてますね」


 支えを失えばこの場で寝込んでしまい
 そうな絢音の体を支えつつ、
 エレベーターから降り立つ各務。

 まさかこんなに酔っ払った高校生を学生寮へ
 連れ帰るワケにもいかず、
 自分の自宅マンションへ連れてきたが……

「……酒、弱くなったのな」

「……え? 何か言いましたぁ?」

「―― いや、何でもない」


 やっと、自分の部屋の前まで着いた。



「あとは1人で大丈夫だな? じゃ、これは
 部屋の鍵だ」
 
 
 と、絢音に鍵を手渡し自分は踵を返した。


 でも絢音は、
 部屋の鍵を受け取ったはいいが、
 鍵穴に差し込むのに苦慮している様子。


「……あぁ! もうっ、貸してみな」


 イライラして各務は絢音の手から
 鍵をぶん取って、
 代わりに開けてやった。
 

「んー、でもかがみせんせ、どーして私センセの家に
 泊まらなきゃいけないの?」

「お前は成人しててもまだ高校生なんだ。
 飲酒は一発で無期停学だぞ」

「そっか……」

「じゃあな、ちゃんと戸締まりして休めよ」

 各務はエレベーターの方へ、
 絢音は玄関の中へ ―― でも。

 足がよろけて崩れるよう、
 その場にしゃがみ込んでしまった。
 
 慌てて戻る各務。
 
 
「あーぁ……歩けるか?」

「アハハハ……どうでしょう」


 結局このまま自室まで各務に送って貰う事になる。

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