テキストサイズ

オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第25章 揺れ動く気持ち


 2021年12月27日(月)

 今日は年内(2学期)最後の登校日。
 
 授業はなくて、ホームルーム中に通信簿を貰い、
 ホームルーム終了後班ごとに決められた場所を
 掃除してから帰途につく。
 
 
「あー、あや。これから何か予定ある?」

「ううん、今日はないけど」

「じゃ嵐山茶房付き合ってよ。例の新作スイーツ
 今日からお披露目だって」
 
「オッケー。いいよ行こ」



 麻布十番商店街にある『嵐山茶房』は、
 京都は宇治産の良質なお抹茶をふんだんに使った
 甘味が評判の和スウィーツのお店。  

 カウンター席の他にテーブル席も結構あるけど、
 試験後や長期休暇に入る前などお店はほとんど
 満席状態になる。


「あー良かった。今日はどっちも空いてるよ」

「いらっしゃい。絢ちゃんに利沙ちゃん」


 って、声をかけてくれたのはこのお店のご主人・
 鷹司 忍さん。
 
 
「ラッキー! マスターもいるよ。
 なら当然カウンター席じゃん」
 
 
 このお店、本店は六本木にあるので店主の忍さんは
 そちらにいる事の方が多い。
 
 マスター贔屓の利沙はそそくさとカウンター席に
 座った。 
 
 『なぁ忍ー、生クリームの配分こんなもんで
  いいかぁ?』
 と、カウンターの後方にある厨房の暖簾から
 顔を出したのは各務さん。
 
 まさかこんな所でまで顔を合わせるとは
 思ってなかった利沙と私は素っ頓狂な声を出した

ストーリーメニュー

TOPTOPへ