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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第27章 特別な場所


「れ、玲子さん……?」


 そして玲子はいきなり絢音の唇にブチュウっと
 キスをした。


「……!」

「玲子っお前いきなり何してんっ」

「れ、玲ちゃんっ」


 絢音は思考が停止してフラつき、
 そんな絢音を竜二がすぐさま支えた。


「だってフラれたんやで?
 間接キスくらいしてもろてもバチあたらんやん」


 竜二は絢音の唇を袖でゴシゴシこする。


「いたっ いたいって、各務さん」

「口直しっ」


そう言って唇を尖らせて近づく。


「もー。調子に乗るなっ!」

「私やったらいつでもオッケーやし」

「なんやなんやみんなでキスして、ワイもまぜてぇや」

「なんでお前に俺がキスせなならんのや、あほっ」


 3人のやり取りを見て絢音はブッと吹き出し
 あはははは ――と大笑いをした。
 
 3人は唇を突き出したままびっくりして
 絢音を見る。


「ごめ ―― だって3人とも漫才みたいで
 面白かったんだもん。久々にこんな、声出して
 笑ったよ」

「そんなおもろかった?」

「しゃーない。他の女やったら許せへんけど、
 絢音にだったら竜二ゆずってもええわ」

「ゆずってもってお前なぁ」

「でもいらなくなったら頂戴ね?」


 そう言って玲子は絢音の手を握る。


「はい」

「はいってお前……。コラコラ」


 (絢音、楽しそうだな。
  やっぱコイツらに会わせてみてよかった)


 絢音は久々に何もかも忘れて楽しい時間を
 過ごした。



「じゃあな。竜二、絢音またな」

「ほんと竜二いらなくなったら頂戴ねー」

「おやすみなさーい」

「気ぃつけて帰れよ?」


 絢音は手を振って2人のバイクを見送った。


「んじゃ。行くぞあや」

「うん」

「いいとこ連れてってやる」

「いいとこ?」

「あぁ。俺のとっておきの場所。
 いつかお前連れて行ってやりたいって
 思ってたから」


 (かがみ ―― ううん。竜二さん……)

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