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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第27章 特別な場所


「か ―― りゅじさ……」

「またそんな目で見る。
 皆んなお前のその目にやられちまうんだぜ?
 きっと」


 各務は絢音のおでこにキスをする。
 胸の奥がジンジンしてくる。
 絢音は各務の唇を親指で触れた。


「竜二が……き」

「聞こえない」

「私も竜二が……竜二が好き。大好き」

「あや」


 各務の唇が絢音の唇を捕らえた。


「ん……竜二……」

「俺もお前が好きだ」


 互いの舌を絡めあう。
 各務の手が、ニットの上のふくらみへと伸びる。

 ―― キャー! 遂にこの時が!

 むにっ。
 各務がものすごく驚いた顔をしていた。
 絢音も、すごく驚かれるだろうと予想していた。
 恥ずかしくて思わず顔を背けた。
 
 
 (いや ―― バイクに乗ってる時から
  背中にあたる柔らかな感触で”もしや!”とは
  思っていたが……)


「ノーブラ?」


 そう。上下白ってのもいかにもで恥ずかしいし、
 敢えていつも着慣れている小母さんパンツにしても
 合わせるブラないし ―― と、
 悩みまくった挙句の結論がコレです。

 こじらせててすみません。

 絢音がまた黙り込むと、
 各務はその耳を甘噛みしながら、
 ニットの下から手を入れる。


「ん、ふぁ……」


 その手が、服越しではなく、直に絢音の胸を掴む。

 その冷たい手が乳首を掠めて、びくっと腰が跳ね、
 絢音は両手で彼の袖を掴んでしまう。


「エロいな」


 彼は獲物を前に舌舐めずりした。

 ―― いやいや、エロいのはあなたでしょー!

 そう思いつつ、声を絞り出した。


「バラバラだって笑われて、
 統一してくるのも恥ずかしいじゃない」


 各務は意外そうな顔をしてから微笑んだ。


「俺そういうの大好き」

「……」

「先を急ぎたい気持ちは一杯だけどよ、
 ここはちょっと見通し良すぎるし ――」
 
 
 各務が言葉を続けようとするより先に
 2人同時に大きなくしゃみをした。
 
 
「ちょっと、寒いね」

「時間は惜しいが、ホテル行くぞ」

「うん」

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