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オオカミは淫らな仔羊に欲情する

第29章 心が悲鳴をあげても


 近頃ではスマホにも嫌がらせのメールや
 無言電話がくるようになった。
 学校の緊急連絡網用のアドレスを悪用している
 のだ。

 クラス中で絢音の事を噂する声が聞こえてくる。

 噂にはどんどん脚色が加えられていき、
 冬休み中に父親を亡くし食うに困って、
 今は同系列のヤクザの大親分の愛人になって
 金銭援助を受けているとか。


 放課後の夜はいつも街に立ってウリしているとか。


 1時間1万でどんなプレイもOKのヤリマンだとか。


 そんなありもしない酷い事まで言いふらされる
 ようになった。


 毎日、朝起きると胃がキリキリ痛む。

 体も重怠い。

 ……学校に行きたくない。
 行くのが辛い。

 でも、行かなければならない……

 絢音は思い足取りで毎朝学校へと向かった。
 
 久住やめぐみたちは変わらず絢音の側へいてくれて

 少しでも絢音の気分が明るくなるようにと
 色々気を遣ってくれるが、
 そんなせっかくの気遣いも他のクラスメイト達の
 嫌がらせで帳消し。

 毎朝教室に入ったとたんクラスメイト達が白い目で
 絢音を見る。

 前はめぐみ達と同じく割合仲の良かった
 クラスメイトらでさえ、今は口も聞いてくれない。

 愛奈と和美は満足そうな視線でニヤニヤしながら
 時折絢音の方を観察している。



 友達とはこんなに脆いものなのだろうか?

 こんなにも、すぐ壊れてしまうもの
 なのだろうか……

 机の中には今日も嫌がらせの紙がどっさり詰まって
 いた。

 もう、こんな事はうんざりだ。

 堪えきれない涙が頬を伝う。

 絢音は紙を1枚ずつ破り捨てた。

 後ろの方の席からこんな会話が聞こえてくる。



「誘えば絶対ヤらせてくれるんだってよ」

「なら俺お願いしてみよっかなぁ」

「1度ア**、試してみたいんだぁ」

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