テキストサイズ

夜の影

第12章 愚か者

【翔side】

ライトが眩しくて、また目を閉じる。

頭痛が酷い。

ガンガンする。



「でも、今すぐは無理なんだ
だからもう少しここに居な」



わかった、って頷くと、サトシが俺の背中をぽんぽんと叩いた。

子供にするみたいじゃんか。

嬉しいけどさ。



「…ワタシは上に戻ります」



二宮君の声がした。

謝らないと。



「にの、くん…ごめん…」



「いいんですよ
翔さんは落ち着くまでこの部屋にいてください
そのうち、ウチの弁護士から連絡が入ります

それまでは良かったらここにいて
少し躰を休めてください」



「メールする」



サトシの声を目を閉じたまま聴いた。

さっきまでの緊張した感じが無くなってたから、取りあえずホッとした。

それとも夢だったんだろうか…。

何だか、いろいろ、ぼんやりしてる。

わかるのはサトシの体温だけ。



あたま、いたい…。




もしかしたら、声に出して言ってしまったのかもしれない。

サトシが、ごめんな、と言って何かの錠剤を口移しに飲ませてくれた。

喋ってしまったら、この人とは一緒に居られないのに。



「ショウ、立って
ベッドで寝よう」



サトシにしがみついて朦朧としたまま歩いた。



「サトシ…」



傍に居てくれる?

口に出したつもりはないのに、サトシから返事があった。



「うん、一緒に寝よ」



腕枕で抱きしめてもらって、布団を掛けてくれた感触までは憶えてる。



「おやすみ」



言ったのはどっちだったのか。

夢も見ずに眠って。

次に目を開けたら、朝になってた。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ