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my destiny

第17章 君への想い

【智side】

でもね、オイラ知ってんの。
愛情深い翔君は、本当はオイラのことがなくたって、犬を飼いたかったんだよね。

子供が居ないオイラ達の、かわいい家族。

翔君と二匹の会話を聞いてたら、嬉しくて。
幸せなのが嬉しくて。
オイラ、顔がゆるんだのかな。

翔君が気がついたのか、くすっ、て笑う気配がした。


「行ってくるね」


デコにちゅぅ、ってキスしてくれて。
足音が玄関へ向かった。





『俺、待つから…』

『いつか、でいいからさ』

『二人で、南の島とかに移住して…』

『一緒に笑って暮らそう』





昔、翔君が言ってくれた通りに、オイラ達は一緒に暮らしてる。

今もずっと二人で。
一緒にいる。





『晴れたら釣りに行って』

『雨なら絵を描いてさ』

『夕方になったら、手を繋いで
地元のパブに行くの…』

『それを二人の夢にしよう…?』





まだ眠っていたいのに、寝返りを打ったら目が開いてしまった。

真っ正面にPontaの丸い顔がある。
短い脚で立ち上がって、ベッドのへりに前脚を乗せてた。
オイラが起きたのに気がついて瞬きする。


「んふふ」


オイラが笑ったら、起きたっ、て高い声で一声吠えて。
後ろで気をつけをしてるRainを振り返った。


「Rainは今日もイケメてるね
いつもありがと
Pontaは今日もかわいいよ」


ベッドの中から二匹に声をかける。

さて。
コーヒーでも淹れて、絵の続きを描こうかな。

5人の夢が終わって。
2人の夢が始まって。

夢のようで夢じゃない、生きてるってこと。
そんなイメージで。
今は抽象画を描いてる。

細かい点描で5色のドットをたくさん。
たくさん描いてる。

Pontaが飛び跳ねて催促するから抱き上げた。
職務に忠実な彼は、べろべろとオイラの顔を舐め始める。


「くっ、わかった!
わかったって
あはははっ」


今日は家で晩御飯にしたいな。
翔君と二人で、ゆっくり、のんびりしたい。

毎日してるけどね。
いくらしても、オイラ足りないんだ。
若い頃、忙しかったからかな。

二人で並んで飲みながら、テレビ見たりしてるのが嬉しくって。


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