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my destiny

第4章 Pandora's box

【翔side】

差し入れに戴いたチーズケーキを食べながら、コレステロールの話をしていたら、智君がむっくりと起き上がった。
チーズケーキに反応したな(笑)。

ガチャピン的可憐さで両目を擦りながらヨロヨロとやってきて、まずはお客様に挨拶する。


「大ちゃん、チーズケーキいただいたよ!」

「あ、ご馳走様です」


寝ぼけ眼で曖昧に頭を下げた貴方の口元には、嬉しさが滲んでる。

あんまり可愛い顔しないでよ、また芸人さんのファンが増える。

相葉君にお礼を言って上着を返し、松本にも、あんがとね、と笑いかけた。

ニノが、チラリと貴方を見るのに、ふふっ、と笑う。

体調は大丈夫そうか?


「大野君、仙台の方には釣りに来ないの?
もし来ることがあったら、
紹介できる船とか宿があるかもしれないから
遠慮なく言ってね」


ああ、そう言えば、この方は地元では名士の家柄の方だった。
有名な武将の子孫にあたる方だもんな。

釣りの話で、貴方の目が覚めてくる。


「今度、鮎川に行きますよ」

「お、まじで。」

「鮎川、って言えばさぁ」


タレ目が特徴の相方さんが話を続けた。


「鳶が船の傍に来たら事故に気をつけてね」

「とんび?何でですか?」


チーズケーキの箱に手を掛けたままの貴方がキョトンと問いかける。


「いや、俺も知らなかったんだけど、
鳶って海の神様のお使いなんだってね?
何か良くないことが起きる時は
船の傍に来て教えるらしいよ
鳶が来るとウミネコが近寄らないから
妙に静かで不気味なんだと」

「「「「「 へぇ~ 」」」」」

「金華山に3年連続で行くと一生お金に困らない
って言われてる神社があるから、
時間があったら行ってみるといいよ
塩竈神社もあるしね」


礼儀正しく話に耳を傾けながら、松本が腕時計に触って智君に目をやる。


「ああ、すみません、俺、メイクに行かないと」


貴方がいかにもチーズケーキに未練がありそうに言うと、芸人さん2人も頃合いと思ったようで席を立つ。


「大野君の分、取っておいてやってくださいね(笑)
じゃぁ、よろしくお願いします」


賑やかに去って行った。




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