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my destiny

第4章 Pandora's box

【智side】

俺たちには、お互いの心だけしかないけど、信じようって。

かわいそうぶるのは、やめよう、って。





『一緒に居られるなら、他には何もいらない』





翔君、俺ね。
今が一番幸せだと思う。

翔君にも、メンバーにも。
こんなに大事に、大切にしてもらって。

もう十分もらった。

オイラ、何も持ってないし。
何も返せないけど。

気持ちが変わらないことだけは約束出来るよ。

翔君が望む間は、ずっとそばに居る。

それが、俺の精一杯。





俺ね、本当は、もういいんだ。

仕事でたくさん、いろんな経験もさせてもらえたし。

これ以上は、何も、自分の望みが無いんだ。

目標とか、やりたいこととか、元から大して無いんだよ。

自分にとって大切な人の、望みが叶うように。
オイラに出来ることは、やろう、って思って来ただけで。

譲れないものとかも無いし。

こんなに幸せになれたから、一番幸せな時に死にたいなぁ。
って思ったりする。

でも、翔君が悲しむから。

きっと悲しむから。





俺、ダメだなぁ。

翔君にも、メンバーにも、こんなに大事にしてもらってるのに。

こんなやつで。





「俺は、手放さないよね」





翔君の声が、ハッキリ耳に入って来た。

その瞬間、思い出した。

昔、ロケで会ったじーちゃんに教わった寿命の話。

オイラ、数字はすっかり忘れてたんだけど…。
もう、間もなくだったんだ。

待って。

じゃぁ、俺、本当に、翔君を置いていくの?

俺、本当に、そんなこと出来るの??

数字を思い出したら、急に現実なんだなって、怖くなった。

うたた寝から、意識が戻って来て、体を起こす。

胃がぎゅっと絞られるような感覚があって、吐くかも、と口元を押さえた。







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