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my destiny

第5章 風の中のキャンドル

【智side】

店の前で待たせてたらしいタクシーに乗ると、翔君がマネージャーに報告の電話をしてくれる。

体を起こしてるのが辛かったから、翔君の膝に頭を載せて横になる。

家に着くまでの間、翔君が撫でてくれる手の温度を感じながら、考えてた。





ああ、そうだ。

俺、死にたかったんだなぁ…。





ずっと、誰にも言えなくて、見ないことにしてたんだ。

支えてくれる人が居て。
応援してくれる人たちが居て。

愛してくれる人が居て。

だから言えなかった。

なかったことにした。





昔から、なんとなく自分は早く死ぬんじゃないかって、不思議な予感があって。

きっと、そうなんだろうな、って漠然と思って来た。

そう言えば、占い師に当てられたこともあったっけ。

新宿?

銀座、か。

有名人なんかになりたくなくて。

芸能人になんかなりたくなかったのに。

訳が分からないうちに名前も顔も知られるようになって。

せめて、迷惑だけはかけないようにしなきゃ、って思ってた。





踊るのが好きだった。

歌うことも。

見たいって、言ってくれる人たちがいたから。

もしかしたら、こんなオイラでも、誰かの役に立つのかもしれないと思った。

もしかしたら、誰かを励ましたり、するのかもしれない。

出来れば、誰かの役に立てるように。
そう思いながら、必死でやって来て。

いつも隣に翔君が居てくれた。





ごめんね、翔君。

一緒に居たい、って。

ずっと一緒に居る、って。

あんなに言って来たのに。








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