テキストサイズ

my destiny

第9章 Scar

【翔side】

「いなくなったら生きていけない、
って意味、やっとわかったよ」

「今頃、何を言ってるんだか(笑)
俺なんか、貴方を好きになってから
いつ貴方が居なくなるかって、ずっと怖いよ?」

わざと軽く言って、背中を上下に撫で擦る。
少し呼吸が落ちついてきた。

「うん…ごめん…
オイラ、ひどかったね…ごめんね、翔君…」

「どんな夢見たの?」

震えがまだ止まらない。
悪夢は吐き出した方が、楽になる。

「追いかけられて、真っ暗で、
足がガクンってなって落ちる夢」

「あ~、それは嫌な夢だね」

「翔君がいなかった」

「あぁ~、ごめんっ」

俺を抱く腕に力を込めて、智君は笑い交じりに答える。

「夢だもんしょうがないよ」

「いや、俺としたことが
貴方の危機にいなかったなんて
間抜けもいいとこだ」

「ふふっ」

息遣いが平常に戻って来た。
そのまま、ゆっくり髪を撫でる。





「信じるって怖いんだね」

「うん?」

「オイラね、今までずっと
翔君がいついなくなっても仕方ないって思ってたの」

智君の言葉に、思わず、髪を撫でていた手が止まる。
駄目だ、優しく言わないと。

「……それで?」

「怒んないでね?」

「うん…続けて」

「男同士で、ゲーノージンで、メンバーで
ずっと続くわけないと思ってたから
いつ終わってもおかしくないって覚悟してた

翔君に彼女が出来たら、
きっとオイラに言えなくて困るから
ちゃんとオイラが気がついて別れようって」

「……智」

「待って、聞いて」

体を離そうとしたら、しがみつかれた。

「この間、オイラ、ずっと翔君と一緒に居る
って返事したでしょ?
あれ、嘘じゃないから
ほんとに、今、そう思ってるから」

「…うん…」

「でもね、そしたら
翔君が居なくなったらどうしようって怖くなって…

いつでも離れられるようにしなきゃって
思ってた時は怖くなかったの

オイラ、もともと一人なんだから
一人に戻るだけだって思って
悲しかったけど、怖くなかったのに」

「うん」

「今は、すごく怖いよ…」

「うん…、わかるよ…」

何が言いたいのか、よくわかる。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ