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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第2章 二人の関係

「何だ何だ、ヤス。朝から何疲れてんだよ?」

「真宮会長のお取り巻きに、何か言われたか?」

オレの前の席と隣の席のヤツが、からかい気味に声をかけてくる。

お取り巻き…そう、光雅にはそういうヤツらが側にいる。

だが…。

「そんな勇気のあるヤツいるか」

「だよな~。真宮会長の寵愛を受けているお前に何か言おうものなら、命知らずも良いとこだ」

「悪口一つで退学だって、聞いたことあるぜ?」

「あってたまるかぁ! そんな独裁政治!」

…いや、光雅ならありそうだからこそ、全力で否定する。

「アハハ、冗談だって。それよりヤスも大変だよなぁ」

「そうそう。あんなカリスマ的な幼馴染がいたら、心休まらないだろう?」

「まあ、な…」

心は休まらない。

十年前からずっと…。

「ヤスだって充分、イイと思うんだけどな。成績だってウチのクラスじゃトップだし、運動神経だって良い。顔もそこそこだしな」

「側に会長がいると、どーしても霞んでしまうんだよなぁ。まっ、それは誰でもそうだろうけどよ」

「ああ、だろうな。だから光雅には友達っつーもんがいないんだろう」

光雅は悪いヤツじゃない。

けれど天性的な天才だ。

勉強や運動はもちろんだが、何をやらせても人並み以上。

それが顔や体、しかも性格も加われば、あんまり近付きたくないタイプになる。

…特に同性なら余計にだ。

「そう言えばさ、真宮会長、また芸能界から誘いを受けたって?」

「あ~、それ知ってる。芸能事務所が学院に連絡してきたんだろう? 毎度のことじゃないか」

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