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やさしく愛して 「改訂版」

第1章 やさしく愛して 「改訂版」

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 そんなことが続いていたとき、校了日で次の日が休みと言うと、
 「じゃあ
  霧子さん
  ワインを飲みませんか」
 「いただきます」
 「スペインのが
  あるんです」
 「美味しそう」
 疲れていた体に、ワインは、ほんとに美味しかった。
 東京で、交際していた男性に裏切られ、大阪の出版社に来たこと。
 仕事は面白いが、ときどき、フッと寂しくなるときがあること。
 そんなことを話しているうちに、眠くなってしまい、気がついたら、朝だった。
 布団に寝ているのがわかり、慌てて起きた。
 恒さんは、ソファーで、にこにこしていた。
 「やぁ
  目がさめましたか」
 「ごめんなさい
  布団を占領したみたいですね」
 「いや
  もう一組あるんですが
  霧子さんが
  夜中に帰りたいと
  言うかもしれない
  と思って」
 「それで
  ソファーに」
 「はい
  あっ
  いや」
 わたしは、思わず、恒さんに抱きついた。
 そして、ワンワンと声をあげて泣いた。  
「こんなに
  優しく
  ウグッ
  なんて
  優しい
  ウグッ」

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