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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第16章 精神科 急性期閉鎖病棟

午後2時に身体拘束を解かれ、そのまま成井さんにプレイルームまで手を引かれて行き、丸テーブルに座らさた。





プレイルームの天井にも保護室と同じ監視カメラがついていた。





このカメラで桜庭先生に「行動観察」されているんだと思う。







「ねえ、あんた新入り?桜庭先生の患者さん?あの先生、超イケメンだけど怒ると怖いし厳しいよねえ〜」






看護師さんに支えながら前方の椅子に座った女性が話しかけてきた。





その声には聞き覚えがあった。

それは隣の覚醒剤の患者さんの声だった。





『新入りです。よろしくお願いします』





仲良くなりたくなかったけど一応、挨拶だけはした。ただその後は、彼女が一方的にしゃべるだけで会話は成立してなかった。





彼女の行動観察は15分くらいで終了したようで看護師さんに支えながら保護室へ戻っていった。





プレイルームにはピアノがあった。





そのビアノに触れていいのか迷うことなく、ピアノに近づき黒椅子に腰掛け、姿勢をただしてから鍵盤の上に指を置いて一息ついた。





そして昔、発表会で弾いた曲を奏でた。








鍵盤の感触が懐かしい。



ピアノがいとおしい。







クラッシックもポップスも指が覚えている曲を、次から次へと弾きまくった。











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