テキストサイズ

注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第17章 修正型電気けいれん療法*(1)

*夜の回診




「美優ちゃん、いいお知らせがあるよ」





『いいお知らせ?ってもしかして…ここから出れる?』





「うん。明日、保護室から個室に移動していいよ」






『マジで嬉しいんだけど。』






「個室も施錠するし監視カメラもあるけど、保護室とはだいぶ雰囲気違うから。よかったね」





「めっちゃ楽しみ。先生ありがと」






「個室では拘束しないけど、大丈夫そう?」





『大丈夫って、何が?』






「自傷行為しないって約束できるの?」






『できる。何百回でも約束するよ』





「全く。口が達者なんだから。夕食はどれくらい食べられた?」





『あんまり。』






「ごはん食べるように努力してね。栄養状態が悪いといいことないから。確認のために採血やっとこうか〜?」






『え、採血?採血はちょっと…』





「ちょっと何?」






『…苦手ですぅ。』






「苦手?でも電気けいれん療法の前日に必ず採血やるから、慣れないとね」







『はぁーー』






「ため息ついてないで。腕まくるよ」






『いやっ。いやあっ。』






「いいから血管みせてごらん。」







『いやだってばぁ。』






「どれどれ」






『いやぁ…。痛くしないで〜』






「う〜ん、静脈血管が細いな。これじゃ楊枝でスパゲッティーさすくらい難しいよ。」







『やだよぉ。痛いから採血やだぁっ。』






「これだと脇坂先生も相当、苦労してたはずでしょ?」





『脇坂先生はちゃんとやってくれたもん』






「僕だってちゃんとやってあげるよ」






『…桜庭先生はやらなくていいもん』






「急に幼児言葉になってるね。消毒するからね。採血終わるまでいい子にしてようね。拘束してるからどうせ動けないだろうけど」







『桜庭せんせいのバカッ…』






「バカなんて暴言吐かれたら僕は悲しいよ。病棟スタッフに暴言や暴力ふるったりしちゃダメだからね。わかってる?」






『うん…。ちゃんと気を付ける』





「保護室に逆戻りしないようにね」









ストーリーメニュー

TOPTOPへ