注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。
第17章 修正型電気けいれん療法*(1)
★医療コラム
修正型電気けいれん療法について★
電気けいれん療法(ECT)は、古くから行われてきた治療法の一つであり、全身麻酔薬と筋弛緩薬を使用して、身体的苦痛やけいれんを緩和したものが、修正型(modified)電気けいれん療法です。
具体的には、麻酔薬と筋弛緩薬を静脈注射で投与し、眠られた後に頭部(額)に電極をあて数秒間電気刺激を与えます。電気刺激により、脳内に治療的影響を与え、効果を得るというものです。この治療は、週3回行い、1クール10回~15回を目途とします。(3週間から5週間の入院期間)
治療適応となる方
難治性の統合失調症で幻覚妄想、興奮、緊張状態にある方、重度の気分障害でうつ状態、そう状態などにある方が適応となります。特に希死念慮のある方、生命の危機に陥っている方、薬の効果がみられない方、副作用が強い方には適した治療法と言えます。
安全性について
m-ECTの死亡例は低く5万回に1回程度で、頻度は低いとされています。事前の検査や麻酔科医の診察を行うなど安全には、最大限の配慮を行っています。
副作用について
実施直後に現れる副作用
けいれん発作・・・筋弛緩薬により現れにくくなります。
血圧上昇・頻脈・・・ほとんど全症例です。3~5分で消失します。
不整脈・・・稀です。心電図をチェックしながら、薬などで対応することもあります。
麻酔から覚めて現れる副作用
物忘れ・・・最も多い副作用です。治療後のことを忘れ、ぼんやりすることがありますが、数時間から数日で回復します。
頭痛・筋肉痛・・・時にみられます。程度は軽いので、適切に治療で改善します。
治療のながれについて
医師より、治療の説明を患者さまとご家族に行います。
事前に必要な検査(血液、心電図、頭部CT胸写等)を行います。
麻酔科医の診察を受けていただきます。
治療前日の21時から飲食を控えていただきます。個室に入っていただく場合があります。
当日朝に点滴を行います。
治療室(手術室)で麻酔薬と筋弛緩薬を投与し、眠っていただきます。
前頭部より数秒間の電気を流します。
麻酔から覚醒後に病棟に戻り、2時間ほど観察室で様子を見ます。