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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第37章 おかえり

「さっそくだけど採血しようね。そこのベッドに横になって。」









ベッドに横になると、穿刺部分の消毒をされ
問診も始まった。







「昨日のおしっこの回数と量は?」







『6回くらいトイレに行った。量はふつうだった。』







「おしっこは、肉眼でみて赤くなってたりしなかった?」








『してなかった。』








「頭痛や食欲不振、吐き気はある?」








『頭痛はないけど食欲はあんまり。』









「動悸・息切れ・倦怠感はどうかな?」








『そういうことは全然ない。』








それで一通りの問診は終わった。








そのあと横になっている私の目を
しっかり見つめながら







「透析の基準があってね、血清クレアチニン値が8ml/dLを越えてたらすぐに透析始めないといけないんだ。採血の前に覚悟しておいてくれる?」と、告げた。










「精神科の桜庭先生から連絡があったとき8越えてたから、おそらくはすぐに透析開始になると思う。」








『私なら、もう心の準備ができてるよ。』








「精神科で成長してきたんだね。すっかり頼もしくなって。採血も嫌がらずにできたもんね。(笑)」









『それぐらいできるもん。』








「そうだ。美優ちゃんにプレゼントがあるんだった。この本ね、"腎臓病"と"血液透析"について書かれた本なんだ。分かりやすいように僕が付箋紙を挟んでおいたから。」










『どうもありがとう。お部屋に戻ったらゆっくり読ませてもらうね。』







「わからないことがあったら回診の時に聞いてね。後でまた行くから。」








『うん。勉強して、私も"腎臓病"や"透析"に詳しくなれたらといいなと思う。』







「うん。」










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