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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第37章 おかえり

桜「暴れたら途中で針が折れるからね。薬液が入るから痛いけどちょっと我慢だよ。」








美優『ギャァーーーッ。』









桜「はい、おしまい。」








美優『…』







桜庭「そんな痛かった?(笑)しこりが残らないように揉んであげるから許してな。ごめんな。」









美『笑うことないでしょ。りんたんばかぁ。』









桜「精神科の治療は以上でおわり。山口美優さん、ご卒業おめでとうございます。」









美『どうしよう…泣いちゃいそう。桜庭先生、ありがとうございました。』









桜「笑顔で行けよ。じゃあな。」









美『バイバイ』











小さな卒業式を終え、腎臓内科外来に向かった。








診察室で、脇坂先生が待っててくれた。








「美優ちゃん、おかえり〜。」










『ただいま〜。脇坂先生、お久しぶり!』










「元気そうだね。精神科どうだった?」










『なんだかあっという間だった。』










「また僕が主治医になります。
よろしくお願いします。(ペコリ)(笑)」







『こちらこそどうぞよろしくお願いします。
えへへ…(ベコリ)』








「美優ちゃんが笑顔で本当に嬉しいよ。」









『私もまた脇坂先生に担当してもらえて嬉しい。』









「それで、内科の治療の目標は何にする?」









『目標は、ズバリ退院!』










「それいいね。退院を目指してお互いに頑張ろう。」










『うん。』










「たしか…美優ちゃんは痛いことが大嫌いだったから、泌尿器系の細かい検査はもうしないよ。やってもらう検査は採血と腎生検のみ。」









『うん。』










「まずは透析の準備から。明日、処置室でバーキュラーアクセス(シャント)作成の小手術をしようね。」







「シャント?」







「局所麻酔で、透析用の人口血管を
皮膚下につくるよ。」








『大きな傷ができる?』








「傷口は3センチ程度かな。女の子だから出来る限り丁寧に縫合してあげる。」






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