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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第48章 葉桜

ICUの窓から見える桜は満開を過ぎて
花びらが風で舞い降りると葉桜になった。





私に寂しい思いをさせないようにと
脇坂先生は朝と夜にICUに回診にきてくれた。





特に、夜は小説を持ってきて一晩に
短編を一話づつ読み聞かせてくれた。






「今夜は読み聞かせの途中で寝落ちしなかったね」






『目を閉じてしまったら今度こそ目が覚めなくなってしまいそうで』







「それは困るな。僕はもう二度と美優ちゃんと離れ離れになりたくないのに。」







『もう一話読み聞かせしてほしいな。』






「それじゃあ今夜は特別にね。」








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