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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第8章 結果

「まだ若いから透析中心の生活になるのは残念なことだと思う」




『そんなぁ…残念ってなによ!急に透析なんて言われてもワケわかんないんですけど!』





「そうだね。ワケわかんないよね」





『そうだよねじゃなくて、もう一度調べ直してよ!絶対に何かの間違いだから!』





「ごめんね。結果は変えられない」




『そんなぁ…いきなり透析とか言われてもどうしたらいいのかわかんないよ。わかんない。わかんない。わかんないよ…』




想像することさえできなかった最悪の結果に、肩を震わせて泣くしかなかった。




「透析なんて嫌だっ。死ぬのも嫌だっ。脇坂先生も嫌だっ」





『少し落ち着こうよ』




先生は白衣の胸で私を抱きしめ
背中を優しくさすりながら、こう続けた。



「今は生きることを最優先にしよう」




悲しくて涙が止まらない。


震災で家族を亡くしたあの時と
同じように。

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