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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第8章 結果

「美優ちゃんは血液透析に対してどんなイメージ持ってるの?」




私が落ち着き出したのを見計らって、先生が問いかけた。



『暗いイメージ』




「暗いイメージかぁ。実際には患者さん同士で楽しそうにおしゃべりする人もいるし、テレビや本を読んでる人もいるし、音楽を聞いてたり、パソコンで仕事をしてる人もいるよ。透析の時間は長いけど、それぞれが工夫して有意義に時間を使ってるよ」





『そんなに長い時間やるの?』





「週3回。一回4時間」





『それをいつまでやればいいいの?』





「抗がん剤とは違うからいつまでって事はないよ。生きてる限りずっとだよ」




そんな話、絶望しかない。




「一人になって考える時間が必要なのかな。夜にまた回診にくるから何かあったらナースコールおして」




私は、下を向いたままコクンと頷いた。




「美優ちゃんひとりで泣かないよ。泣きたい時は僕のいるところで泣いて」





『…うん。頑張って泣き止むよ』





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