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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第2章 僕の診察室

『採血は無理だと思います。だって私…指先の血を見ただけで倒れてしまったぐらいなので』




「美優ちゃんは限局性恐怖症っていう言葉を聞いたことがあるかな?鉛筆の先が怖いだとか、飛行機の中が怖いとか、犬や猫が怖いとか」





『はあ…』



「さっきは血が怖くて耐えられなくなっちゃったんだね」




私はコクンと頷いた。



「採血を無理強いさせるつもりはないよ。でも同じケースの患者さんは、どの人もみんなちゃんと出来てるから。美優ちゃんもやれるだけやってみない?」






こんなに優しく説得されたら脳みそ痺れて、正しい判断なんてできっこない。



「ん?どうかなぁ?」




『やってみます』




「よし。それじゃ採血の準備しよう。美優ちゃんはそのままベッドで横になっててね」





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