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注射、浣腸、聴診器、お尻ペン。

第16章 精神科 急性期閉鎖病棟

「こんにちは〜」





目の前の精神科の医師の声は明るく、意外と普通な感じだったので少し安心した。





「こんにちは。精神科医の桜庭です。こっちは看護師の成井さん」





「こんにちは。精神科からお迎えに来ました。美優ちゃんの担当の看護師の成井です。よろしくね」






若手の男性看護師は、愛想よく微笑んだ。






『…』






「緊張してるの?精神科ははじめて?」





桜庭先生の問いかけに
私は、小さく頷いた。





「これからうつるのは、精神科の急性期病棟なのね。簡単に言うと、全部のお部屋に鍵と監視カメラがついてるんだけど大丈夫?」





それにも、小さく頷いた。






「大丈夫ね?」






『…大丈夫です。』





「うん。それじゃ確認だけど、あなたは自傷行為をしようとして不安定な状態なことは理解できてる?」






『…できてます。』






「意思の疎通は問題ないけど、病棟にうつったら一番最初に入ってもらうのが保護室になるの。保護室は普通のお部屋とは違って窓に鉄柵とかついてるし、ベッドとトイレがあるだけ。それも大丈夫?」







『…はい。』







でも本当は、大丈夫なんじゃなくて、どうでもよかっただけ。









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