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ヌードモデル詩織・初めての夜

第1章 恋人について


合コンに行ったら、彼氏ができてしまった。

相手は系列校の四年制大学の三年生。
きっかけはこんな会話だった。

「君はよくキャンパスで見るよ」
「ゼミのアルバイトに行ってるんです」
「ああ、美術モデルの?」

美術モデル──プライドをくすぐられる言葉だわ。
それは、美を追求していった到達点が女性の裸身だったという意味になるから。

「お持ち帰り」はされなかったけど、その場で意気投合し、やがて相思相愛となり、3週間目で人生2回目のキスをした。

キスしてからはエンゲージ状態。
夏休みには、レンタカーで日帰りのドライブ、浴衣で花火大会と、恋人らしいこともした。

一方で私はモデル業も続けていた。
収入源だし、仕事としても楽しめるようになっていたから。

私が、いわば商品として「身体の表面」を提供していることを、彼は問題にしなかった。

それどころか、キスし、抱きしめても、私の肌を露わにしようとしない。
私の意志を尊重してくれているらしい。

料金を払った依頼者には、モデルとしての私を裸にする権利がある。

恋人として得た私だけど、私が裸になるかどうかは、まだ私に選択権にある。

つまり、それが彼の考え方なのだろう。
意地悪くとれば臆病ということになるが、私は嬉しかった。


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