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兄弟ですが、血の繋がりはありません!

第7章 骨と皮と肉と、時々炭水化物


悠side

鶫くんが若干食べすぎているなーとは、思っていた。元々食べるのが好きであればあるだけ食べてしまう彼。

俺がもっと気をつけて見ていれば!

我が家の長男次男が自己管理能力低めなのは今に始まったことではないのだから。俺がしっかりしなきゃ。

「悠。何してるの?」

「智にぃ」

文字を書く手元を覗き込む顔。
うわ、また絵の具付いてる。ホントなんでこんな所に飛ばすんだろ。

「鶫くんが太ったって言うから脂肪少なめ、タンパク質多め、糖質オフのご飯考えてたんだー」

テーブルの上に常備されたウエットティッシュで智にぃの顔を拭きながら答える。今の智にぃの顔、とうふが顔洗ってる時に激似。

「ていうか、とうふさん居たの」

智にぃの腕には方来家アイドル猫のとうふさん。

「俺の部屋に忍び込んでたからこっち連れてきたの。今から臭い塗料出すからね」

「おー良かったね〜智にぃがとうふに気付いてー」

普段の絵の具でもだいぶ臭いのに、塗料はダメだ。人間にもキツイんだから猫のとうふには激臭だろう。

かいぐりかいぐり、とうふさんを撫でる。
なんて可愛いんだ。

「そうだ、鶫は?太ったなら運動がてら買ってきて欲しいものあるんだけど」

「知らない〜部屋に居なければ外行ったんじゃない?縄跳びとかバットの素振りとかしてると思う」

ひょいっと智にぃの腕からとうふさんを抱き上げてお腹の辺りの匂いを嗅ぐ。たまらん。

「外?…あれ?」

「ん?」

急に智にぃが言葉を失うものだから、とうふのお腹から顔を離す。なに、なんなのさ。

「ほら、寝てる」

「げぇっ!」

てっきりここから出て行ったものだと思って居たけど、まだ居たなんて。

それより、この人。
太ったなんだって騒いでいた割に呑気に昼寝?

ソファに隠れていて分からなかったけど、大の字でお腹を出して寝ている。幼児か。

「痩せる気ないでしょ」

「まあまあ、怒らないで。この体勢いい感じだからスケッチするわ。あ、起こさないでよ?」

こっちもだいぶ呑気だ。
いくら兄弟だからってこんな所似なくていいのに。

「はいはい。あーあ、鶫くんが太ったこと、真剣に考えてたのって俺だけだったのかなぁ・・・」

悲しい?虚しい?いや、そんな感情じゃない。

これは怒りだ。

「起きたら覚えてろよ・・・!」


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