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兄弟ですが、血の繋がりはありません!

第7章 骨と皮と肉と、時々炭水化物


鶫side

「…ん、ふわぁあ・・・」

やばい。寝てた。

美味しそうな香りに目を開けると、そこはリビングのソファとテーブルの間。つまりはカーペットの上とはいえ、床だ。

「びっくりするくらい腰痛い…」

軋んだ音を立てる腰を擦りながら起き上がる。
まだ脳が完全に覚醒してない上に、さっきから欠伸が止まらないのだが。

それにしても・・・

「…いい匂いだなぁ」

キッチンからするこの香りは、紛れもなく肉の匂いだ。んふふっ今日のご飯はなっにかな〜!

腰の痛みも忘れ、スキップしながらキッチンカウンターへ。中を覗き込む。

「うわぁっ生姜焼きだ!やっったぁ!」

ハルルの生姜焼きは駅前の定食屋のやつより肉が厚くて、味がしっかりしてて、つまりは遥かに美味いのだ!

「ハルルっオレご飯大盛りねっあと千切りのキャベツも大盛りで、タレいっぱいかけてマヨもねっ」

生姜焼きのあまじょっぱいタレが染み込んだキャベツに、まろやかで仄かな酸味の効いたマヨネーズ。それをご飯にバウンドさせて・・・考えただけでヨダレが垂れて来そう!

「今日のお肉も厚切りだよねっ?!」

ずずいっと上半身ごと中を見ると、怖いくらい笑ったハルルの顔。え・・・?

「鶫くんのは特別だから楽しみにしててね?」

逆にその笑顔が怖い。
そうだ、分かっている。この顔がどういう時の顔なのか。

ハルル、ガチギレ。


***


「いただきまーす!」

そんな3人分の言葉の後、オレの皿と向かいの兄さんの皿の中身を何度も何度も見比べてしまう。

「なんでオレの肉は豚じゃなくて鳥(しかもササミ)で、その上キャベツにタレが染み込んでないの?!マヨもない!」

何これ。家庭内いじめですか?誰に相談したらいいの?命の窓口に「弟がいじめてきます」って電話すればいいの?

「鶫。俺の1個あげよっか?」

「え、いいの?!」

さすが兄さん。その微笑み、神様かと思った。
まぁでも、そんな簡単に行くわけないよね。

「智にぃ。鶫くんを甘やかさないで」

だって悠がマジでキレてるんだから。

「いい、鶫くん。今日から鶫くんにはダイエットメニューにします。これにより大盛り禁止令です!」

「・・・Really?」

これにより骨と骨のぶつかり合い、血で血を洗うような日々が始まったのだった。


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