
兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第7章 骨と皮と肉と、時々炭水化物
智希side
《 ダイエット18日目 》
もう見慣れた光景なんだけど、最初に見た時は流石の俺も驚いた。
「42-・・・、43-・・・、」
腕立て伏せをする鶫の背中に、とうふ(猫)。
いやーよく大人しく乗ってるなー。
「とうふが乗ってるのって、人為的なの?それとも自主的?」
「あー最初俺が乗せたんだけど、あの揺れが気に入ったみたいで勝手に乗るようになった。重り買わなくてもいいなんて家計に優しいね」
あー、猫とお掃除ロボットみたいな関係か。
最初は警戒するし、逃げたり攻撃したりするけど、1度乗ると病みつき的な。
「・・・50ー!よし!!今日の筋トレ終わり!」
「おつかれー」
「鶫くん、床の汗拭いてからシャワー行ってよ?」
「りょーかいでーす」
いやーでもよく続いてんな。最初はヒーヒー言ってすぐ逃亡しようとしてた鶫が、もう2週間以上に渡って運動と食事制限出来てるなんて。
それに少しだけど成果が目に見えるようになってきた。引き締まった感というか、上手く言えないけど・・・、
「いい身体になったなぁ…」
うっかり口から滑ったその言葉に、『うわぁ…』と本当に嫌そうな声がした。悠だな。
「薄々知ってたけどホントの変態じゃん」
やばいものを見る目。
「お兄ちゃんをそんな目で見ないで」
「むしろ見させないで」
ご尤も・・・。これからは迂闊なことを言わないように、というか思っても口に出さないように気をつけます…。
「…まぁ確かに鶫くんの身体、仕上がってきたよね」
「あ、分かる?」
「それは、うん。いつも見てるし…頑張ってるのも知ってるし、ちゃんと結果に出てるんだなぁって」
これは珍しいこともあるものだ。あのツンデレの比率がキツイ悠が、正面から鶫を褒めるなんて。
「・・・やっぱ今のなし。うわ、何言ってんだろ。気持ち悪っ…!」
そう口では悪態をつくけれど。
悠の耳だけは昔から嘘をつけないから。
「悠の耳、真っ赤だ」
態と言ってやる。するとその赤は頬にまで広がって。
「うるっさいっ!」
なんとも可愛らしい末っ子の姿が見られるのだ。
