
兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第2章 朝だって時には戦場になる
鶫side
マッハでシャワーを浴びると、既に制服がアイロンで綺麗にされてハンガーに掛かっている。
オレはハルルのこういうところが大好き♪
「~♪悠っ制服ありがとっ」
「どういたしまして、って鶫くん!何回言ったら分かるの、ちゃんと髪乾かさないで来るから床に水滴が…」
と言ってすぐに雑巾を手にして、みるみるうちに拭き取ってしまうこの光景。見慣れたものだ。
「こっち見なくていいから!鶫くんはそこに用意した朝ごはん食べてて」
「はいはーい、いっただきまーす!」
今朝のメニューは…グラノーラにヨーグルトかけたやつにベーコンエッグをレタスで包んだやつ!それから大好きな珈琲牛乳も!
「時間なくて簡単なのにしちゃったけど、大丈夫?足りそう?」
「バッチリ!超美味そう!てゆか美味い!」
"良かったぁ"そう言って悠がふわりと笑う。
笑っていれば年相応、その辺の中学生と何ら変わりないのに。
「ふぉおぉおお!このソースうまうま!」
"普段からもっと笑ってよ"
喉から出かけた言葉を卵と一緒に飲み込む。
「マスタードソースをね、少し入れてみた」
また普段の顔に戻った悠に、少しの残念さと安堵なんかが複雑に溶けた感情でいっぱいになった。
悠は、一体いくつの仮面をしているの?
***
「ごちそうさまでしたー!」
食器をシンクに持っていくと、悠は兄さんと悠自身の分の朝ごはんを作りながら、オレの鞄を指さす。
「お粗末さま。カバンに朝練後の軽食とお昼のお弁当入れて置いたから、揺らしたり傾けないでね」
「今日もなんか汁あんの?」
「汁って言い方。スープね。入れたよ、昨日作っておいた白湯スープ」
「ぱいたん・・・なぁ悠」
「ん?」
「ぱいたん、てさ。なんかエロくね?」
「あ"?朝から何言ってんの?もげろ」
「何が?!ねぇ何がもげろ?!」
こっわ!流石我が家で怒らせちゃいけない人ランキング上位者!
「はよ、学校行け」
「ういす」
***
「んじゃ、いってきまーらいおん」
「はいはい、いってらんぼるぎーに」
家を出て、空を見上げて。
「無駄に晴れてんな」
今日も何ら変わりない日常を再確認した。
