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見破られたヌードモデル

第1章 小説みたいに


短大の授業がなかった金曜日の午後に出会った初老の紳士は、有名な画家だった。


私をモデルに雇った日曜画家の絵が画商に買い上げられたと知って、小さな画廊を訪ねた。

といっても私の裸婦画はまだ制作中で、見に来たのは別のモデルを使った絵である。

それは洋装の女性がフルートを構えている絵だった。
明るい光と清潔感にあふれた画風に魅了されて、私はかなり長い時間見ていたようだ。

そこで、老紳士に声を掛けられたのだった。

その一週間ほど前のこと。
彼が、ヌードモデルが出てくる小説が載ってたよ、と図書館から借りてきたアンソロジーの文庫本を見せてくれた。

タイトルは『雪の絵画教室』。短編の推理小説だった。

主人公は画廊の受付をしている若い女性で、巨匠の老画家からモデルにならないかと誘われる。

──脱ぐんですか?
──若い女性はそれが一番だと思うよ。

主人公が画廊のオーナーに相談すると、高名な画家に描いてもらえるチャンスを逃す手はないと奮励され、
恋人に打ち明けると、別に構わないと答えたから、
彼女はアトリエに赴き、すべて脱ぎ去るのだった。

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