テキストサイズ

見破られたヌードモデル

第1章 小説みたいに

推理小説だから、このあと起きる事件が主眼となるが、
仮にもヌードモデルである私は、ここまででも十分楽しめた。

そして今日、画廊で画家が──というシチュエーションが実際に自分の身に起きたというのも、驚いたし、嬉しくもあった。

──詩織さんは、ヌードを芸術として理解できますか?
──はい。……もしかして、私が?
──嫌でなければ。
──ちょっと恥ずかしいです。
──いい経験になりますよ。
──それはわかりますが。

訊かれなかったから答えなかっただけ。

私がセミプロだということは──。


翌日の土曜日に画家の自宅に行った。

小説のように冬ではなく、まだ初秋だが、アトリエにはストーブが出ていた。

私は学生証で年齢確認をされたボランティアの女性として裸になる。

──では、お願いしようか。

うなずいた私は、ブラウスのボタンを外していく──。

(いつもなら、一人きりの別室で脱ぐのが普通なのね)

ブラジャーを外すと、乳房がこぼれた。
(きゃっ)
見られた?

こんなの恥ずかしく……ないよ……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ