
テレフォン -約束-
第9章 電脳世界
・・・・やっぱり
“まー君”の手触りには程遠く感じます
でも、シゴトをしないと家では涙が出るし…
ココロの支えを失って…
欺瞞(ぎまん)の施しのキモチだけで触られることに耐えるのは
空虚に投身しているように感じました
・・・・だから
蓄積していた今までのアタシの我慢も、もう限界を越えました
“もう、どっちでもいいや”
って、ココロの悪魔が怠慢を囁きました
アタシは奉仕を放棄して横たわるだけのマネキンになり
ご新規さんと赤線を越えて本番に至りました
抱かれている間に“まー君”を思い出してみても、あの土埃と砂煙の中、消えてゆきました
瞳を閉じた時に
一筋の冷たい涙がつたい
いつか、枯れて捨てた
ピンク色の花束がゴミ箱の中で泣いている姿が見えました
