
テレフォン -約束-
第9章 電脳世界
・・・・アタシをむさぼるご新規さん
アタシは
瞳を閉じて
心を閉じて
胸を痛めて
喘ぎも出ず
胃袋は痛み
呼吸を忘れ
鼓動は乱れ
“まー君”のいない現実を噛み締めていました
精神病(やまい)の中でトランキライザーを切らして重く垂れこめる孤独の世界で
夜更け
朝焼け
日暮れ
のいずれも途方にくれるアタシの現実
・・・・横着で緩慢(かんまん)なピストン運動の中
・・・・下手な独唱みたいな唸り声を出し
ご新規さんはアタシに身を預けて果てました
「・・・・レナちゃん、良かったよ」と耳元で囁くご新規さんの声が鼓膜に届いた時に
“まー君”
“まー君”
“まー君”
“まー君”
“まー君”
“まー君”
“まー君”
“まー君”
“まー君”
・・・・・・・・
ココロの中で“まー君”を呼び続けていたんだ…
そのことに気が付いたのでした
