
テレフォン -約束-
第3章 回想
小雨の中の滲むネオンライト
傘をさすまでは降っていない
アタシは疲労困憊のまま歩いていた
横断歩道のゼブラ模様はくたびれ気味だ
それより、くたびれた家路のアタシ
左手側に通り過ぎてく車のメーカーや名前は知らないし興味もない
それよりも、この横風に吹かれ刻まれ舞い散り飛んでいきたくなった
・・・・何故なら
帰れば帰ったで“地獄”が待っていました
・・・・男の暴力
胸骨とあばら骨の鈍痛
骨が軋り軋りと鳴くのです
朝焼けみたいな内出血
消しゴムでは消えないのです
顔は守りました
女の本性と本能で守りました
・・・・でも、
ひどい時は、鼻に衝撃と共にめり込む強烈な拳がありました
フローリングに転がっているアタシのA型の凝血
残酷なチョコレートを溶かして流したみたいと、何故か、頭をよぎった
そんな、そんな、アタシは用済みのガラクタになったマネキンみたいに、フローリングの凝血の横に頬をつけて転がっていました
