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テレフォン -約束-

第4章 シゴト




・・・・やっぱり、今年の夏は暑いや


9月を過ぎても、向こうの空には積乱雲が秋空を突き飛ばして“まだまだ俺が”と夕方の空を独占している


そんな積乱雲みたいなタイプな人が好きでないアタシは地下鉄の階段を降り始めた


到着の案内メロディがプラットホームに流れている


“急がなきゃ!!”


近未来形の直列の地下鉄と、かけっこして勢いを緩めないまま、駆け込み乗車をしました



“今日、行けば、明日は休みだ”



各駅停車の鈍足の地下鉄は、“レナ”へと化身する気持ちの整理に好都合です


“今日も無事に終わりますように”


祈りを捧げている間に駅に到着したアタシは“レナ”を作り上げて店へと歩く


向こうにあった積乱雲は間近になっていた


好きでない積乱雲より、もっと好きでない店に近づいてゆくアタシ


それよりも、雨が降るとお客が減ってしまう…

それは、嬉しくもあり、残念でもある複雑な雨なのです


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