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テレフォン -約束-

第5章 原色の気球と花束と




アタシは、昨日と同じように由井さんへサービスを行いました

拘束される時間は長いだけで、過不足なしのサービスです


相変わらず、弾まない会話でしたが、幾分かは馴染めた感覚でした

そんな、拘束終了間際に由井さんは

おもむろに前触れもなく


「連絡先を教えてください」と言いました


連絡先を教えることと、本番を強要するお客さんには一切に妥協しないアタシでしたが


何となく、仲井さんのの要求は

うだる暑さの真夏にトナカイを引き連れているように滑稽で

音の出ない壊れたオカリナを知らずに一生懸命に吹いているように可愛くて


まるで、唄の歌詞を間違えたような、その唐突な要求には調合された“たくらみ”などのない無垢なものに感じて

何より、母性を“チクッ”と刺激されて、痺れさせられてしまったのです


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