
テレフォン -約束-
第5章 原色の気球と花束と
とある大きな駅にアタシはいました
約束の時間は過ぎていて…
遅れるくらいで怒ったりはしないけど、指定されたドレッシーな格好での“待ち人来ぬ”には少しだけ、抵抗を持っていました
それにしても、由井さんからの最初のメールの一行目での「もしもし」には思わず笑ってしまいましたが、スレていないのと、女性の遍歴はそれで垣間見ることは出来ました
「お待たせしました」笑顔の由井さんは、至っていつもの装いでこちらに駆けてきました
どうも、アタシにドレッシーで来るように言ったのも忘れている
その予感は絶対にハズレない確信を持って笑顔で応えました
夕方の巨大な駅構内は
やっぱり、まだまだ暑くて、散策をするには気が重たくて、用事がないなら間延びしてしまうので
やっぱり、仲井さんは「少し、早いですが食事に行きましょうか?」と、2つ目の予感を当てさせてくれたことも相まって笑顔で「はい」と答えました
由井さんの右側に並んで歩きました
あと、1時間もすればラッシュアワーで混雑する駅を後にしました
