
テレフォン -約束-
第5章 原色の気球と花束と
そんな2人での初めてのお店は、綺麗でオシャレではありませんでした
おでんが好きなようなのですが、特におでんがメインのお店ではなかったですし、美味しくもありませんでした
・・・・何より
ドレッシーで来た意味が全くないお店でありました
でも、由井さんの飾らない、気取れない大地の息吹を感じる、おおらかで温厚な性格
特別に面白くはないけれど、異国語のような方言を教えてくれて、会話をエスコートしようとする、ひた向きな姿勢
巧妙にアタシを騙した後、暴力と腕力の刀で徹底的にココロを斬り刻み、逆運に導いたあの男のような横柄さも裏表もない言葉
上着のほつれかけのボタンと
突然のクシャミの後の鼻を拭く格好と
寂しがりやがアタシのココロを盗もうとしている姿が子供みたいに見えて
やっぱり、やっぱり
母性を“チクッ”と刺激されて
痺れさせられるのでした
