
テレフォン -約束-
第7章 極彩色の万華鏡
・・・・月曜日の始発電車をホームで待つ二人
“まー君”は雨の中、今朝も駅まで送ってくれている
また、1週間のお別れへの駅路には、あれだけ楽しかった週末がまるで嘘みたいに物静かで、重く、暗く、冷たい空気が流れます
「またね」
アタシは“まー君”が持ってくれていたバッグを手に取りました
「うん またね」
って“まー君”は笑顔で言ってくれました
・・・・・・・・・・・・でも
駅から家路に向かう“まー君”の背中には
「寂しいよ… 悲しいよ… 辛いよ…」と書いていました
そのくせ、25メートル先の薬局屋さんの前では振り向いて
クボミみたいなエクボの笑顔でアタシに手を振ります
愛情に満ちた週末の後味は
甘酸っぱい愛よりも
ほろ苦い悲しみの味がします
・・・・何故なら
あの日“まー君”の寝顔にココロで呟いた
〈本気にさせないでね?〉
〈本気にならないでね?〉
って言葉をちゃんと伝えておくべきでした
