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時計じかけのアンブレラ

第8章 and more

若かった頃は、それなりにいろいろあったけどね。

でも基本的には。
感情に任せて八つ当たりするような場面があっても、当たられた方はすぐに反応を返したりしないし。

やってしまった方はその場で謝るか、それが出来なければ、別の場面でそれとなく悪かったと思ってるのが伝わるように。

続けようという意志があって、大事に大事に育てて、ここまで来た。

俺達が5人で一つの決断をしてからずっと、相葉君と智君が一緒に居るところを見てると泣きたいような気持になることがあって。

ニノと相葉君のUBを見た時とちょっと似てるというか。
二人の背後に歴史が見える感じ。

それは相葉君とだけじゃなくて。
智君と松潤が居るところを見てもそうだし。
ニノとじゃれてるところを見ててもそうだし。

俺も、涙腺が緩む年になったのかもな(笑)。

それぞれの考え方があるのは当然で。
だから誰も否定したりしない。

明け透けに主張するだけが親密な関係じゃない。
心の内を全部言えば良いってわけでもない。

ああ、そっか、そうなんだね、って。
控えめにようやく言った一言を、ただ受け入れて見守る。
そうして笑いかける。

それが俺達なんだな、って実感しながら。

立ったままで相葉君と話してたら、智君がとことこ歩いて来て、すとん、とソファに座った。

ソファの背もたれを間に挟んで、俺の前にある、ふわふわの後ろ頭と丸まった肩。

「貴方、するの?マッサージ?」

頷く後ろ頭(笑)。

「あ、そう」

肩に手を置いて言うと、また頭が揺れる(笑)。

「じゃぁ、リーダーが先ね!
終わったら呼んで~
あ、ニノ~
翔ちゃんが耳のマッサージしてくれるって~」

遠ざかる相葉君の声を聞きながら、腕を智君の胸に垂らして肩口に顔を埋めた。
今日も好い匂い。

「翔さん」

松潤が笑い含みで俺に呼びかける。

「ん~?」

「オオエさんなんて居ないよ
少なくとも俺は知らない」

智君の頭が傾いて俺の頭に触れる。

「そっか…」

うん。
なら、いいんだ。

松潤が離れた気配を感じてから、顔を上げて智君の頬にキスをした。

「わかった?」

小さな声で訊いてくる。

「うん、ごめん」

「ん」

柔らかい耳にそっと触れると、智君はひゃぁ、って笑って身をよじり、首をすくめた。






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