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Happiness day

第19章 Do you…?

「ごめん、翔…」

診察室で処置を終え、待合室で会計を待っている間、肩を落として謝る智

「だから、智は悪くないって
人助けしたんだから、そんな顔するなよ」

「でも、そのせいで翔が骨折した…」

「俺が下にいなかったら、智はもっと大怪我したかもしれないんだそ?
それに比べたら、俺の骨折なんて安いもんだろ」

あのままの体勢で智が落ちてたら、頭を強打したかもしれない
下手すりゃ命に関わるような怪我をしたかも…
そう考えると、ゾッとする

「俺が怪我した方が良かった…」

「そんな事言うなよ…
智にそんな風に言われたら、俺が余計な事したみたいじゃん」

「違う!そうじゃなくてっ…」

ずっと俯いていた智が、勢いよく顔を上げた

「わかってるよ、智の気持ちは。
俺に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだろ?
でもさ、俺は満足してんの」

「満足?怪我したのにか?」

「さっき言っただろ?あのまま落ちたら智はもっと大怪我したかもしれない…
それを俺が防いだんだぞ?
ご婦人を助けた智もヒーローだけど、そのヒーローを助けた俺もヒーローじゃん?
大満足だよ」

「翔…」

智の表情がいくらか緩んだ

「だからさ、どうせなら謝るよりもお礼言ってよ」

「うん…」

智の両手が俺の左手を取り、そっと握った

「ありがとう、翔」

「どういたしまして」

笑顔で返事をすると、ようやく智の顔にいつもの笑顔が浮かんだ

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