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講習の時間は1時間弱…

内容はそんなに難しいことじゃない

子供と一緒に参加してる家庭もあるから、簡単な言葉でわかりやすく話してくれる

ペットを飼う為に必要なことと
それがいかに手間と費用が掛かるかってこと

犬の場合は散歩が必要だから、更に時間も必要

費用も、年間数十万…月割りにしても、数万…

毎月赤字、なんていうご家庭では、飼うのは難しいのかな…

この講習を受けて、現実を知って
飼うのを諦める方もいると、大野さんが教えてくれた

「動物が好きな人ほど、ちゃんと判断してくれるよ
自分が今、ペットが飼える状態なのかどうかを…」

「俺、正しく判断出来るかな…」

講習に使われた資料に、再度、目を通す

「翔ちゃんなら大丈夫」

大野さんが、ポンポンと頭を撫でてくれた

雅紀が言うように、俺、大野さんに信用されてるのかな…

「そういえば、雅紀から聞きましたけど
大野さんってカズとジュンの育ての親なんですって？」

「んふっ…育ての親って…
ちょっとの期間、ミルク飲ませてただけだよ」

「でも大変なんでしょ？世話するの…
家に連れ帰ってたって…」

「これまでにも、何度か経験してるからね
慣れてるといえば慣れてるけど
夜中に起きなきゃいけない間は大変だったな」

「ですよねぇ…今は？家に動物いないんですか？」

「いるよ。猫が2匹」

「猫？その子たちも仔猫なんですか？」

「ううん、もう大人の猫…
ちょっとワケアリで、こことは別の保護施設にいた子を預かってるんだ」

「ワケアリ？」

聞き返すと、大野さんが苦笑いをした

「所謂、虐待を受けてた子たちで
人間不信なんだよね…
ようやく、俺に慣れてきたって感じかな」

どんな動物たちも、すぐに懐くと思ってた大野さんでさえ、苦戦してるんだ…

「どんな様子なのか、見てみたいな…」

「見に来てみる？」

「え？」

「家に来て、その子たちに会ってみる？
ペットを飼う為の、いい経験になるかもよ？」

「はい！是非」