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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

「失礼しました、お話の途中で」

松岡さんが俺たちに視線を戻す

「あ、いえ…
では改めて…彼女と連絡を取っていただくことを、お願い出来ませんでしょうか?」

ニノが姿勢を正すのが見えたから、俺も背筋を伸ばした

「それに関しては、俺よりも相応しい奴がいるんで、ソイツに直接話してもらえませんか?」

「松岡さんよりも相応しい?
その方とは連絡を取っていただけるんですか?」

「取ると言うか…」

「お話中、失礼します」

先程の男性がお盆を手にしてやって来た

「おう、ありがとう」

男性は小さく一礼すると、茶托に乗ったお茶を順番に置いていく

ここのスタッフさんだろうか…

礼儀正しい所作が慣れてる感じで、優秀な秘書を思わせる

ただ、ちょっと見た目は残念だけど…

服装はカジュアルフォーマルで綺麗めファッションなのに
あまり手入れをしてる感じのしない、長めの髪が、それを邪魔してる

前髪なんて、掛けてる眼鏡にかかってしまっていて、眼鏡の奥の目が見えない

「失礼しました」

「あっ、ちょっと待って、翔」

彼が一礼して立ち去ろうとするのを、松岡さんが止めた

「何か?」

「こちらの方々が、話があるそうなんだ
聞いてあげてくれないか?」

「私にですか?」

少しハスキー掛かったクセのある声…
若干、驚いたニュアンスを含んで聞き直される

そりゃそうだよな…
見知らぬ人たちから、聞きたい事があるなんて
『何か事件でもあったのか?』とも思われかねない

「あぁ、お前にだ…
去年の夏、話外になった、あのポスターのモデルについて知りたいそうだ」

松岡さんがそう言うと、彼がピクッと動く

「…お答えすることはありません」

「あっ!待ってください!」

「大野さん⁈」

立ち去ろうとする彼の手首を思わず掴んでしまい
隣でニノが驚きの声をあげた

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