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Happiness day

第16章 サクラ咲ケ

翔くんが差し出してくれたイチゴ飴をかじる

「うん…おいしい。
はい、翔くん」

今度は俺がぶどう飴を差し出した

「ありがとう」

パクッと一粒ぶどう飴を口に入れる

「んーっ!おいひ〜」

キミは満面の笑みになった

その笑顔、いつか俺が引き出すこと出来ないかな…

スイーツを利用してじゃなく、俺自身が…

「あっ!花火!」

「え?…あっ…」

翔くんの顔が光に照らされ、その直後に『ドンッ』という花火の音が鳴った

「綺麗…」

花火が映り込み、キラキラと光る翔くんの瞳

「うん…綺麗だ…」

去年、いや、もう一昨年か…
クリスマスのイルミネーションを見上げた翔くんの瞳もキラキラして綺麗だった

生まれて初めて、誰かを綺麗だと思った瞬間…

あの時、俺はキミに恋をした

「翔くん…」

「ん?なあに?」

キラキラの瞳で俺を見る
その瞳をいつでも俺に向けていて欲しい

「俺…翔くんの事が好きだ」

一瞬、目を見開いたキミが、花開くように笑った

今まで見てきたキミの笑顔のなかで、一番綺麗な笑顔

「うん…僕も…」

そう答えてくれた時、一際大きな花火と歓声が上がった

翔くんの手をギュッと握りしめる

「俺の大学受験が終わったら、今度はもっと遠い所に旅行に行かない?」

「うん、行く…」

恥ずかしそうに笑うキミ…
俺はスイーツ以上の存在になれたかな?


〈end〉

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